2009年5月下旬に激しさを増していた、米系ファンドと国内ファンドの争いに決着がついた。5月28日の定時株主総会で、議決権行使比率約90%の中、社長に就任したのはスティール側が提案していた旧旧経営陣の渡部信男氏で、勝利が確定。自らの息がかかった役員が選任されなかったユニゾンは敗北し、TOBを断念し、6月1日には資本業務提携を解除した。
マスコミのインタビューを受けていた株主総会出席者によると「一株当たり純資産(BPS)が1582円の株を1200円という安値でTOBされずに済んだ。スティールの方針におおむね満足」とのことだった。会社の利益をしゃぶり尽くしたいアデランス&ユニゾンと、会社に内部留保金を吐き出させたり株式を高値で売り抜けたいスティールを筆頭とする投資家の対立に一区切りがついた形に。
薄毛はお医者さんが直す時代の到来で、経営再建が難しそうなアデランス。
一昔前まではテレビでアデランスのカツラのコマーシャルを頻繁に目にしていたが、最近では「薄毛は医者に相談しましょう。」というAGA(男性型脱毛症)の治療のために医者に行くことを促す宣伝広告が増えてきている。これは明らかに、アデランスが提供しているカツラ事業や育毛サービス、それに毛髪移植事業が、医療業界が提供しているプロペシアに代表されるフィナステリド錠に押されているということだろう。
四季報の財務状況を見てみると、資産を食いつぶしながら会社を生きながらえさせているように見える。このような状況では、誰が経営の指揮を執っても経営再建は困難で、結果は同じということになりはしないだろうか。
| 【業績】 |
売上 |
営業利益 |
経常利益 |
利益 |
1株益(円) |
1株配(円) |
| 連05. 2 |
70,625 |
8,468 |
8,756 |
-3,568 |
-88.0 |
38 |
| 連06. 2 |
72,690 |
10,319 |
11,061 |
6,149 |
150.5 |
44 |
| 連07. 2 |
73,498 |
8,212 |
8,815 |
6,091 |
156.3 |
75 |
| 連08. 2 |
74,998 |
4,066 |
4,407 |
590 |
15.3 |
80
|
| 連09. 2予 |
70,300 |
2,000 |
2,000 |
-2,100
|
-54.2 |
5~10 |
| 連10. 2予 |
68,000 |
1,600
|
1,900 |
1,000 |
25.8 |
10~20 |
| 中08. 8
|
36,052 |
1,080 |
1,327 |
-803 |
-20.7 |
5 |
| 中09. 8予 |
33,500 |
700 |
900 |
500 |
12.9 |
5~10 |
| 四07. 3-11 |
54,057 |
580 |
1,025 |
-569 |
-14.7 |
|
| 四08. 3-11
|
53,526 |
702 |
765 |
-1,393 |
-36.0 |
今回、アデランスの旧経営陣を追い出すことに成功したスティールと、その賛同者だが、緩やかな死を迎えているかのように見えるこの会社を、どのような手段で再生させるのか注視していきたい。まず手始めに行われる方策は、男性・女性用カツラ事業のテコ入れと合理化、植毛会社の統合があるようだが、全て投資家の方を向いたものであり、顧客数のジリ貧現象に歯止めを掛けることは出来ないだろう。
2008年7月に、付け毛による増毛のヘアコンタクトで有名だったプロピアが43億円の負債を抱えて民事再生法の適用を申請し、顧客を不安に陥れていたが、アデランスが同じような状況を作り出さないことを切に願う。ただでさえ、ハゲの悩みにつけ込んで顧客を食い物にしていると批判を受けやすい毛髪関連業界なのだから。